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2012/03/30

レオナルド・ダ・ヴィンチと話す (3)

あなたは水の素描を沢山残されています。
川辺で池で噴水で流れる水を鋭く観察し、克明に描写されています。
流れに棒や平板を立てその抵抗を受けて、水がどのように流れていくか泡や渦巻きを交え緩急の線で見事に写実していますね。
私も川の流れで石の抵抗を受けて水がどう流れていくのか、
石と石の間をどうすり抜けていくのか、
左右の流れが交わって合流したその様子などを流水紋に捉えてきました。

そしてあなたは植物や動物の素描も沢山描かれていますが、
やはり基本的な線は水の流れる線ですね。
その中でもオオアマナの素描に描かれた植物の葉の伸びやかな一枚一枚の曲線を見ると、満々に満たされた水がこぼれ落ちる線と共通し、
まるで生きものの成長として表現していますね。
流れ動くものそれはとどまる、停止するものに反して、生きることの条件です。

あなたはその流れるものの根源を水に求め、水をいのちと捉え、
あらゆる物への関心を一貫して水に求めて行ったのではありませんか?
私もあなたが思考したように水を万物の絆として捉えるようになってしまいました。
物理的にもこの地球の全てものは水にどっぷりと浸かっていますね。
だから水の動き流れを知らなければ全てが見えてこないのですね。

※”ダヴィンチ 水 素描” などで画像検索してみてください。水素描画がいくつか見られます。

2012/03/26

レオナルド・ダ・ヴィンチと話す (2)

あなたの作品には流れる水が背景に描かれているものが多いのですね。
どうしてでしょう?

「キリストの洗礼」、「岩窟の聖母」、「最後の晩餐」「聖アンナと聖母子」、
「モナリザ」、「受胎告知」等には背景に水の流れが主題を引き立てるようにいきいきと描かれています。これは何を意味しているのでしょう?
美術家が評価しているように絵画の構成上そのような奥行き感を求めたのですか?それならどうして作品のほとんどに、何故「水」なのですか?

「キリストの洗礼」においては遠景から流れてくる水がキリストの足元を浸しています。それは単なる構成上のことではないように、私には思えるのですが?あなたの中で「水」はどのように進化して行ったのでしょう。

私は美術史家でありません。「水」に関心を持ち、水と35年遊んできたものの興味でお尋ねしています。あなたの「水」は単なる物質としての水ではなくなっていますね。
聖なるものとしていのちが生まれ、そして死に至るまでのシンボルとして、
あなたが描く主題の背景に無くてはならないものとして登場しているのでしょう。水と同様に描かれている岩は地球の骨ととらえ、水は体液、流れる川は血液と看做すことが出来ます。
当時は誰れもが「水」に対してあなたのような接し方をしていたのですか?

2012/03/23

レオナルド・ダ・ヴィンチと話す (1)

1月にもダ・ヴィンチを想うで書きましたが、
今回は550年前に手紙を出してみたくなりました。

あなたは数々の名画を残されました。
自然科学者と芸術家としての観察眼と技法を駆使され人類に希望の光を灯されました。
私はあなたの名前を見聞きする度に同じ人間として誇らしく思います。
絵画にとどまらず、植物や動物や水の素描と手記も多く残され、
人類が進むべき方向も示唆されています。

私にとっては特に水に強魅かれます。なぜなら、私も川を流れる水の中に入って水と35年間遊んできたので、水の事を少しは知ることが出来たからです。
そこで一つ私がモナリザについて推理をします。
それをあなたはどう思われますか?お聞きしたいと思います。

まずモナリザの背景にある聳え立つ山から流れてくる二筋の川のことですが、
左右の画は連続していないように見えますが、どうしてですか・・・・・?
あなたは「水」を流れる時のシンボルとして捉えたのではないですか。
それは私が水と関わって水を深く理解して「時」というテーマに行き着いたからです。

岩山から流れ出る左右の川の水は過去と未来を表しています。
モナリザの左肩辺りに描かれている橋は過去から未来へ渡る道。
そこに現在を生きるモナリザがいます。優しく微笑む顔は何を意味しているのでしょう。
秘密の隠し事が好きなあなたのことだから、
きっと現在の私達へのメッセージが隠されているのでしょう。
ご返事を期待して待っています。

2012/03/19

水 (21) 水と人間

いのちは「瑞々しい」もの。
水はさらさらと流れて、瑞々しい。即ち、私達の命を瑞々しく保つ為には、
体内の水をスムースに流すことです。

そのためには精神の向かう方向を美しいものへ向けることが大切です。
「美」を求めることです。
美は光です。植物が光に向って成長するように、
心の向日性を働かせましょう。

美は真と善を住処にしています。
美を求める行為はいのちをよりよい方に生かすことにつながります。
美も流れること。そこにいのちが生きます。

動的な美・流れる美それは生きるエナジーの美しさです。
美を求めることは人生の希望につながります。
いのち=光=美=水という図式をイメージして
それぞれ一人一人のいのちを瑞々しく生かしましょう。

Photo : Yu Nozaki

2012/03/16

水 (20) 水と精神

この地球を成り立たせている根源的なものとして、
四大の地・水・火・風が挙げられています。
人間はこれ等とどう付き合っていくかが、永遠のテーマで、
その中でも直接的に生命に関わるのが水です。

これまで人は水を飲料と生活と工業に利用するばかりではなく、
人生のなかで、倫理的に水のお蔭を受け取ってきました。
それは洗礼であったり、禊であったり、祈りを水に願ってきました。

私の母は毎年12月から2月まで、朝まだ暗いうちから裏の井戸で水垢離をしていました。
前日から汲み置いた水は氷を張っています。
それを数十回全身にかぶります。私は子供心に何故か悲しくなり、
どうしてそんな事をするのかと聞きました。
母は6人の子供達の将来を考え健康で、
幸せに暮らせますようにとお祈りしていると言うのです。
それなら神仏にお祈りすればいいのではと問い詰めると、
母は自分が知らず知らずに犯している罪や穢れを水によって清めるのだと諭しました。
水が人の精神にまで関わってきた事実の一例です。

2012/03/12

水 (19) 体液

羊水が海水の成分とほとんど同じなら、
人の体液も同じであることにつながります。

鳥や昆虫や動物の体液も同じだとなると全ての生命は一つの同じものと言えます。私達の体内の水は細胞の内にあるものと、外にあるものに分かれ、
細胞内にある水は酸素をつくったり、たんぱく質を合成したり、
ホルモンの分泌を行っています。
また細胞の外にある水は酸素や栄養の運搬、
老廃物の排泄を行なっています。

いのちは循環すること、流れることです。
その働きを動物は血液と体液が行なっている。
それは水、水は「いのち」です。

2012/03/11

水(18)3・11

この日が日本中に与えた衝撃は現在生きている人々全ての一生にわたり心に残るはずです。
復興・復旧はこれから永い年月をかけてなさなければなりません。
水に関わってきた私にとって、私がやらなければならない役割を確実に行なうことで、この償いをしていく覚悟です。

被災された人のインタビューで心に残っている言葉があります。
「津波による災害だったが、水や海からどれだけの恩恵を受けたかわからない。これからも水、海を愛して生きていきたい」というものでした。
此処に人間の崇高な精神を通して生きる尊厳を力強く感じました。
ありがとうの言葉しかありません。

2012/03/09

水 (17)血液

動物の体内に血液が流れているかぎり、生です。
血液が水だからエネルギーに温められて体温となっている。
当たり前のことのようですが、これは大変需要なことなのです。
水だから流れます。

血潮といって海の満干とつながっているし、月の動きとも関係している。
昔から言われているように、生命の誕生や死が大海の潮の満ち干に、
また月の満ち欠けにも影響を受けている。
そうなると私達の生命は宇宙にある水の働きに委ねられているということになります。
皮膚一枚を隔てて宇宙のエネルギーを体内の水が受け取っています。
汗をかくことは外気温の影響を受け、
身体の内と外のコミュニケーションなのです。
また血液と海水はその成分において非常に似通ったもので、
生命が海から生まれた事を裏付ける事実です。水はいのちです。

2012/03/05

水 (16) 水ぬるむ

「風光る」「山笑う」「水ぬるむ」どれも春の自然を表現した言葉です。
これらの言葉を聞いたり見たりしたとたん何故か嬉しくなります。

「風光る」は「光の春」を言い表した言葉で、きらきらした風が吹き渡って行きます。
「山笑う」は後1ヶ月もすると落葉樹の新芽が芽吹き若草色の葉っぱでいっぱいになります。
その色と常緑樹の葉っぱの鮮やかな緑と木々に芽吹くわずかなピンク色の花芽達が山全体を覆い包みます。それを遠くで眺めるとまるで山が笑っているようです。

「水ぬるむ」は池の水や川の水に手を浸しても冷たく感じなくなります。
それは空気が春の気温になったことで、風も山の木も自然界の全てがゆるりとなった事を言い表しています。
東北の人達にこの言葉のようなゆるりの気分がいっときも早く来るように願うばかりです。

2012/03/02

水 (15) 雲

雲はすべてが水の集合体!!

空に浮かんでいるから水じゃないみたいだけど、
細かい水蒸気のかたまり。
地表の半分は常に雲で覆われている。
地表の水と空の水は約10日間で入れ替わっているらしい。
即ち、地表で熱せられた水が上昇し、上空で雲となって漂って、
雨となって地上に戻ってくるまで約10日かかるということ。

その間で水は自から水蒸気になったり、氷になったり、
雨になったり、雪になったり、と七変化するわけで、
当然ながらその度ごとに質が内容が変化する。
その間に水は自らを浄化したり、新しいエネルギーを蓄えたりしているのだ。
その真水に我々人間のいのちを任せている。
空に浮かんでいる雲を見るといつも思い出す言葉がある。
「始めに水あり。神は水を天と地に分けた」

Photo : Yu Nozaki